大豆

にがりの技術を上げるという一点の動機により、多様な大豆品種に対応した豆腐作りをこれまでしてきました。その結果としてたどり着いたことは、品種によって味が色々異なり、その多様性自体を尊重するようになったことです。

大豆の品種は、在来種と改良品種の大きく2つに分けられます。在来種は、ある土地に昔からある品種で、改良品種は人間の都合に良い形質を持つように作られた品種です。

在来種は、野の味、青味、雑味といいますか、そういった味が豊富ですが、改良品種でも在来性の高いものは(これが在来性と言えるかわかりませんが)、それらの味がかなり残っているものもあります。

日本での大豆の品種改良研究は、害虫に強く、気候変動に強く、そして何よりも収量が多くなることを目的に行われてきました。機械化が進むと、コンバインで刈りやすいように大豆の鞘を上の方につける、背を高くしない、倒れにくくする、といったことを目的に研究するようになりました。つまり豆の味にはあまり関心がなかったものと思われます。味について意識が行くようになったのは最近のことだと思います。

味という点で必ずしも在来種だけが美味しいわけではないですが、明らかに美味しいものがたくさんあります。在来種の大豆は世界が広く色々なものが多様にあります。味も在来種のほうが色々たくさんあります。改良品種には無いような味のもの、未知の味のものもあり、調べるのは非常に面白いです。それとは反対に改良品種以上にまずいもの(まずいという言い方は大豆に失礼かもしれませんが)もたくさんあります。特に早生のものは、畑にいる時間が短いですから、栄養や味を作る時間が短いわけで、野生の味もなく、甘みも少ししかなく味の深みを感じないものが多いです。