在来大豆データベース


大豆の"ある"区別の一例として

 

遺伝子組み換えでない大豆品種の分け方の一つのあり方として在来種と改良品種という分け方があります。

在来種というのは漠然とした概念規定となりますが「ある土地に古くから栽培し続けられてきた品種」程度の意味でしょうか。

改良品種というのは異なった在来2品種から始まって、改良品種同士も含めて、人間の手で強引に交雑させて"種の連続性"が安定し出したものを世に出したものをいいます。民間でも研究されてはきたとはいえほとんどは公の農業試験場とか国の研究施設で行われてきました。異なった種類の品種を掛け合わせて「たくさんとれる、気候変動に強い、病害虫に強い、コンバイン刈り取りに適している・・・」などといった"農のなりわい"に都合のいいものを作り出そうというものです。

ついでにいうと遺伝子組み換えの現段階レベルの市場流通品は特定農薬会社の農薬に対する"耐性"を考えたものです。つまり、農薬をまいても枯れないように、ということです。

 

当店では特に在来種にこだわり自家農園・自家労働によりさまざまな品種の収集、栽培を続けています。

特に裏作に麦をまかない(大豆はイネ科と相性がよく、連作障害を防ぐために組み合わされることが多い)完全な大豆単作で連作が可能かどうかの研究も10年間にわたって続けております。2013年度は10年目となります。

 

豆腐屋と農家の二足のわらじという考えはなく、豆腐加工は大豆栽培の延長・・・というかタネから豆腐までがひとつの行いと考えております。

当然自家農園では穫れる量が労働時間の制約から2トン前後程度(2013年に2.3トン)のため大きなことはいえないのですが将来的な夢も込めての作業であるため"このへんの能書き"に対してはおおめにみてください。

豆腐屋部分で足りないものはもちろん購入ということになります、これには在来種ばかりではなく改良品種も含まれます。

 

なぜ在来種にこだわって"農をする"のか

 在来種にこだわっているのはなにも私みたいな在来種おたくばかりでなく"従来型掛け合わせ研究者"や遺伝子組み換えの研究者にしても研究対象=宝の山と考えています。つまり在来種のもつ"良き特性"を求めているのです。これは製薬会社の研究員が化学式だけで薬を発明するのではなく、アマゾン等の未開のジャングルに新種の植物(あるいは動物?)を求め有用な成分があるのではないかと模索しているのと同じことです。

 

私が在来種を指定する理由は以下のとおりです。

 

1.味の多様性を求めて。

 つまりさまざまなおいしさを追求することです。

 改良品種はおおむね豆腐だと凝固特性、栽培の上からは刈り取り特性に重きがおかれて研究されてきたために"味"は二の次に考えられてきました。

 ただし"甘く"というのが"売れる"必須条件と考えられるようになってからはひたすら"甘み"に重点がおかれ、作物が野生で合ったときの青味つまり雑味は排除しようとしてきました。

 ところが日本料理の大切な美意識に"あくはちからなり"という大原則があります。

 上手にたくことでこの青味がうまさをひきたてるのです。

 改良品種の甘みは単純なものが多い。たとえばミヤギシロメと借金なしの甘さを比較してみたりすると、なるほどと感じることでしょう。

 

2.気候変動・害虫に強いものが(もちろんすべてではないが)たくさんある。

 これは今の研究レベルでは実際に蒔いて調べるしかないようです。

 本来在来種とは「その土地に長く昔から・・・」ということなのですが、他地域のものまで含めて調べ"その土地に合った"ものを栽培すればいいのだと思います。ただし几帳面な向きからすれば、"その土地固有の"というところが大切なので他地域からの持ち込みは断固禁止と考える向きもあるでしょう。早池峰の高嶺の花を山梨県の北岳に植えて・・・、なんて世界とは同一に考えなくてもいいと思うのですが。来歴はきちんと記録しておくことは大切だとしても「農業は自然」のまんまではない世界だと思います。このへんはけんけんがくがくの議論があると思うのですが、そもそもその土地固有のといっても実際には「むかしむかし嫁入りの時に・・・」といパターンも多いと想像されます。もちろん昔のことですから婚姻はそんなに大きな距離の中で行われたとは思えないですがね。

 自分の立場としては九州から東北までためしてみます。

 津軽海峡にはたしかブラキストン線とかいう生物学的な大きな壁があったかと思いますが、北海道に存する在来種というものはそもそも本州から持ち込んでいったもののはずだと思うのですが・・・。

 

以上の2つに加えて

 3.「むかしからずーっと」という"ロマン"にあります。

 こういうのって・・・、いいよね、認めてください。自分はこういう人間です。


 


 


 

 

在来種取り組みの流行について

 

 在来種がいつのころからはやりだしたのかしりませんがこの業界では大豆としてははやいほうで、15年くらい前からでしょうか。研究者はもちろん昔からずーっとということでしょうが。

 

最初に小糸在来さとういらずありきです。

特に小糸在来は研究者の間では有名な品種で、長野中信試験場の御子柴公人先生がこれを利用してさやなみなどの品種を開発しています。駒ヶ根の大沼さんも直接指導を受けた我が国の"大豆の神様"的なカリスマ研究者です。

そして東京(というか千葉かな)のトージバというグループがこの品種にこだわって半農半Xという運動をすすめてきた有名な品種です。これを日本で最初においしい豆腐に仕上げたのが葛飾の埼玉屋さんと池袋の大桃豆腐さんですが、本家はこれを後進にゆずりいまは大々的に千葉の名物と言うことでその名を高めています。

 

ここ埼玉では10年ほど前に行田の試験場で在来種の研究会が開かれ私も参加していましたが、30種程度のなかから行田在来・借金なしがおいしいということでひろめてみようということになりました。

これら埼玉の品種は青山在来やこさ豆等を除き現実に綿々と農家によってひきつがれてきたわけではなく、何十年も前に(研究会開催時期に試験場の所長さんをしていた)渡邊耕造先生らが若き日に県内をまわって収集したものを試験場で冷蔵保存とときどきの播種・収穫を繰り返しながら何十年も命をつないできたものです。

借金無しについてあたかもむかしから秩父の山奥でほそぼそと・・・という話が出てきているようですが眉つばもので、実態としては研究会ののちに県が主導で秩父にひろめたというのが真実のようです。事実研究会終了後突然「おらが・・・」というのはおかしいです。

農水省ジーンバンクに登録するのにあたってどの程度のチェックが行われているのかわかりませんが、ここ10数年の在来種流行時に登録されたものについては・・・?と疑ってしまうのは考えすぎでしょうか。

 

在来種の流行については、いいことですとしかいいようがありませんが実はこのためには豆腐製造の基本技術の向上がなによりも大事で、へたなものがこれを使っても青臭さ・えぐみで豆腐が台無しになってしまいます。

きちんと煮る技術や高タンパク・低タンパクの見極めのすぐできるレベルに達していない場合はやめたほうがいいと思います、大豆がかわいそうです。

農業的にも在来種ならなんでも気候変動や虫に強いというのは完全に間違いです。改良品種でも虫に比較的強いものもあるし青味をもった甘さをもつものもあります。改良品種の無農薬栽培は「品種を選ぶことと、農法の研究」によって可能です。無農薬は在来種に限る、というのはうそです

 

以下にここ所沢に蒔いた時に大豆はどういう生育を示し、なおかつ収穫された豆がどういうふうの味になるかを示していきます。ただし土壌の問題等から土地が変われば結果は異なる場合もあるし同じになる場合もあると、確定的なことはいえないことも念のため頭に入れておいてください。写真の切り貼り等はしませんが、切り取り・コントラスト調整等はします・・・といっても写真はアップロードとかやっかいなので今のところ使う予定はありません。

あくまでも豆そのものの普遍的な性質ではなく、所沢市のある農園で蒔いたらどうなるかというだけの結果報告です。