[ TOPのINDEXへ ] 

                  通人はもめん??                                
 今まで述べてきたことでもわかりますように従来言われているような「通人はもめん」というのは誤謬です。食べ物のことですから好みのものを食べればよいのですが豆腐の本当の醍醐味はきぬとうふにあるのです。ただしにがり100%で凝固したものに限ります。にがり100%で凝固した最低ランクの輸入大豆(ただし収穫時からあまり時間のたっていないみずみずしい状態の時)の豆腐は、にがり以外もしくはにがりを含む混合凝固剤で凝固した最高ランクの国産大豆の豆腐よりはるかにおいしいです。

 要するににがりしか凝固剤のなかった戦前には絹ごし豆腐はごくごく一部の職人にしか作れなかったのです。当店は創業以来その技術を維持してきましたが、きぬとうふそのものが売れなかった土地柄(いなかはみんなそうだったのでしょう)ですから理解のあったごくごく少数の人に特別に作っていてあげてたそうです。それは私にも感じますが、いろいろな性質の大豆との会話の楽しみ・にがりを打ち攪拌するときのスリルが何にも換えがたい快楽であったからこそ捨てきれなかったものと推察できます。  
 にがり豆腐はどうしても豆乳全体を均質に凝固させるのがきわめてむつかしい豆腐です。
もめんや寄せ豆腐・ざる豆腐というのは「むら寄り」等の不均質な寄せ作業の場合でも、あとから「かき混ぜる」という補正作業によってかなりな失敗といえる部分が部分がカモフラージュできてしまいます。 
 それに対してにがり100%のきぬは3-5秒の寄せ作業のあとはいっさい手を加えることのできない、ようするにあと追い修正・補正の効かないきびしい世界なのです。
 とくに(代用品も含めて)消泡剤をまったくを使用しない時のきぬの凝固作業は困難の極致にあります。
 にがりきぬの技術はわが国で極められたにがり技術のエッセンスがすべて詰まっています。
きぬ豆腐を見ればその職人の豆腐技術のすべてがわかります。                               

 

最終改訂日
2000.2初稿 2002.4.8


 [TOPへ]