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超高濃度豆乳凝固
絞り機の進歩によって戦前では考え得ようもなかった高濃度の豆乳が絞れるようになりました。ただしこれは出てくるおからがべたべたで、本来大豆に含まれている栄養分をかなりおからに逃がしてしまっているのでずいぶんと贅沢なというか豊穣の神に対しては罰あたりなことをしていることになります。他の食べ物でも似たようなことがたくさんありますね。グルメとはいったい何なのかな。でも豆腐はおいしいです、とても甘いです。
つぶした大豆への加水量を減らして煮るわけですが、この煮炊きが極めて大変で煮る人はいつもやけどだらけです。すなわち呉があまりにもどろっとしているため熱を下から加えても対流がおきません。そのままではいつも同じところにしか熱があたりません。そこで密閉釜といってもかなりな温度にいたるまでふたを開けて攪拌棒・へらで製作者がかき混ぜてやらなければなりません。密閉釜の内部に回転するスクリューをつけたりしたものもありますがノーマルな呉ならばかき混ぜられても、このように濃い呉だとスクリューにひっかかったところだけが動いているだけで呉全体はかき混ぜられたことにはなりません。手攪拌しかありえません、熱いーのです。危険なのでーす。
搾るのも大変でかなり時間がかかります。そして栄養もむだにしています。豆乳はだいぶ温度が搾り工程中に下がってしまうので寄せ適温まではそんなに時間待ちはないでしょう。
豆乳は搾りたての時からややどろっとした感じで凝固適温までさがるとさらにどろっとしています。
ここで欠点。といっても見方によりますが。すなわちぴーんと湯葉が張らないということです。どろっとしているので出来る湯葉もどろどろべたっとした感じですくい揚げる時は破れます。もちろん生で食べたらとてもおいしいですよ。
さて肝心な寄せですが「最難関」という要素と「最も簡単」という二面性を持っています。
最難関といのは海水にがりでやる時です。別項でも説明してありますがにがりは液体の時が一番反応が早くなります。それを瞬時の内に豆乳全体に行き渡るように散らしてやらなければなりません。この超濃い豆乳では極めてそれが困難です。
なぜか・・・。それはどろっとした豆乳に、注いだにがりが触れるとすぐに反応が始まるのは薄い場合と同じですが、あまりにもどろっとしているためすみずみまで、注いだにがりを散らせないのです。攪拌回数も当然多くなりますがそうすると最初に反応を起こしたところを後の攪拌で壊してしまうことになってしまいます。当然豆腐はざらざらに荒れます(局部的に)。自分にとっていつまでたっても克服し得ない課題です。
と以前の記述はこのようになっていますがその当時対流の「デタラメな表情」と映っていたことも場数・経験の蓄積により現在ではそれを読み取れるようになりました。実に楽しい。
どろどろの対流ですから通常の時のように対流のデリケートな動き・乱れというものは発生しないため手加減の判断材料がなく大ざっぱに攪拌するしかないわけですから作業としては単純で寄せる行為自体のスリル・緊張感というものはありません・・・これも以前の記述。 デリケートでない・・・と見えたことも現在ではデリケートに波を打っているのが感じ・観てとれるようになりました。
最も簡単というのは固形フレークでやる時です。今述べたように寄せがどろどろ対流ですから目視による判断での手加減はほぼ不可能なのですが、固形フレーク状にがりのばらまき法だとそういう観察をあまり必要とせず温度・添加量・攪拌回数・手で感じる当たりの具合をつかんでしまえばまず失敗無く寄せられます。豆乳が濃すぎる、にがりが固形のかたまりで化学反応を起こすまで時間がかせげるという2つの条件が重なっているためです。力強く規則正しく攪拌するだけです。変幻自在な手の動き・対流の乱れに即応じるというような「のり」の楽しみはありません。ただし煮るのはていねいに煮て豆乳の安定性をできる限り高めてください。
できあがりはとても甘くておいしいです。ただし高淡白低糖質系の大豆(もう何十年も使ったことがありませんが)はひきしまりすぎて「いけませんね」だろうと推定されます・・・と以前は書いていましたが15度レベルだと違った世界が存在しねっとりくねくねのスーパー・クリーミーな豆腐が熟練によって製造可能です。
「しなり」が大事なのです。剛構造のかたい豆腐は自分としては大嫌いです。日本の高層建築と同じく柔構造の「しなる」豆腐がいい、生でもいいし特に湯豆腐にするとその「良さ」が十二分に発揮されます。
海水にがりにこだわっている人にはこのウルトラハイデンシティへの道は果てしなく続くいばらの道です。しかし場数を踏めば確実に到達できます。
異様な世界です。
充填法だと低温でのにがり混入時の攪拌がとんでもなく大変だと思います。ほんとにどろどろ。出来上がったものも加熱しすぎの方法ゆえに確実にまずくなりますしそして何よりも固くなりすぎになると思います。そしてコストがかかりすぎる・・・・・大量生産の趣旨に反します。
| 執筆記録 | |
| 初稿2001/11.20 | 2002/11.20改訂 |
超高濃度格闘記
この大どろ状態の豆乳はやっかいという以前に、対流をみながら感じる豆乳との一体感が沸き起こらないので「くわずぎらい」的に避けてきたところがある。
さて豆乳の濃さの限界・・・寄せのコントロールの限界であるが、攪拌機を打ち込む一回目のあとに対流がおきるか起きないかが限界である。
対流が起きないというのは要するにもう液体という感じのものではなくどろーんといった感じで水あめのようなものである。この状態だとにがりは全体へ散り均質に溶けていくことは不可能で、甘いところがあるかと思えばにがりがにがりのままの状態でいるところもあったりして、そこはなんというか「にがい」。
対流がやっとこさ起こる限界・・・いままで液体にがりでは100回に数回の確率程度の成功率しか"誇って"いないが、固形フレークにがりだと比較的簡単に寄ってくれている、だが木目細かさが物足りない。
ここ半年間毎日毎日遊心をもって格闘してきたがなんとか方法論がつかめてきたような気がする。完全に通常とは別個・別格の境地でクリーミー感・しなり・ふわり感を持ったまま濃厚さを増していかなければならない世界でなんとも「手のかかる」世界である。味は寄せのうまいへたに関係なく濃厚なものになるのだが、やはり「添え」要素が大事である。完璧なのだがひきしまりすぎでなんか色気がない、完璧なのだがむら寄せ部がどうしてもすこし出てしまうといった具合になんとも「理想のかたち」にならないのだ。
でも課題が設定できて、50にもなろうとしているのにわくわくが増えてうれしい。
2002/6.04 久しぶりにグルコン実験をやる。以前のものは"濃い"といっても小どろ程度だったと思われる。こう毎日おおどろと付き合っていると当然のことながらグルコンやすまし粉と組み合ってみたくなる。
最初はやや薄くなってしまい中どろといっていいかな。絞った豆乳をすぐに攪拌する。グルコンの量は少なめ少なめということはわかっているのだが、どろどろのままになってしまう危険性を考えるとどうしても安全策でぎりぎりより大目となってしまう。実際ぴしーっとしまるのは大分時間がかかってしまう・・・この待ち時間で心配になってしまい追加攪拌で組織をだめにしてしまうものだ。きょうはじっとがまん。
40分後しっかりしまっている。
上のほうをかじってみる。甘い。酸っぱさはまったくない。だがやはり単純な甘さでなんか物足りない。以前の実験では水さらしはいっさいしなかったが、今回水にさらしてみる。
2時間後すいそうから出し、今度は自然脱水させる、冷蔵庫へ。
1時間後・・・最初の粉っぽいようななんかいろんな味がはいっている割にはあいまいな甘さなのに対してこれはやや絞りこまれた味になっている。最初にはまったく感じられなかった酸っぱさが、甘味のはるかとおくのほうに感じられる・・・さわやかなキュートな酸っぱさ。
もうひとつ実験したのは今度は堂々「おおどろ」状態である。豆乳にさきほどより本来なら大目にいれなければならないグルコンを「欲張ってもっと甘味を出そう」と考え、なんと量を減らしてしまった。いつになっても液体状態、しかたないので追加攪拌・・・放置。一時間後ざらざらどろどろであった、大失敗!!!
なめてみると甘いといってもおいしい甘味ではないな。
あしたもやろう。
6.05 きのうのサッカーは日本も韓国もすごかったな。やっとこさチケットを手に入れたひとたちには超格安のチケットだったろう。これからの試合もご健闘をお祈りいたします。
きょうはおおどろ豆乳にきのうと同じ量のグルコンを入れる。攪拌しすぎかな。
なんかおいしくない。
きのうより濃いのにもかかわらず味がそっけない。
6.08きょうのは極めて濃かったと見えて最終的なしまり・かたさもやや不足。でも食べてみるとうまい。このくらいになると
「グルコン豆腐」としてどうどう商売できると思う。高温での攪拌ならば粘性もまだ十分出てきていないので攪拌・分散も楽で確実である。ただし無消泡剤では高温のため無理である。
ライン生産でも「利益最優先」を排すれば十分うまいものは作れる。
ある程度の知見らしきものがつかめてきたが大きく分けて次のような見かたができる。
消泡剤を使用すると14度以下と15度では根本的に攪拌技術がことなる。次元がことなるというか別世界の寄せ技術と言える。
無消泡剤だと14度以下と15度は連続線状にほぼあると言える。濃い・薄いの知識は相互補完的に役に立つ。
課題だが16度・・・対流を起こすのが困難なレベルではどうなるか?
にがりは理論的には一発寄せは不可能である。
グルコンや硫酸カルシウムだと可能性は考えられる。
攻めてみたい気がする。
ただ飲み物としては気持ち悪いだろうねえ、15度も冷えるとどろんどろんで気持ち悪い。
| 執筆記録 | |
| 初稿2002/6.01 | 2002/7.18改訂 |