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海水(海の水)で豆腐を作る


12月5日
.海水にがりで、ではなく文字通り「海水から」です。沖縄のは有名ですね。そもそもにがりで豆腐を作る原点は「海水から作る」ことだったのではないかと思われます。海水の中のなにがしかの成分が豆乳を凝固させるのだろうと予想し、「しょっぱさ」を取り除くことも考え、海水から塩を製造した「残り物」を豆乳に加えてみたと考えるのがにがり豆腐のそもそもの始めだったのではないでしょうか。

 さて最近フランスのディジョン(パリからジュネーブへ新幹線で行くとき通過する大きな町)にいるX氏からメールがあり自然塩で豆乳が凝固するでしょうかという質問があり、「うーむ」と思いましたが、海水から塩をとった残りがにがりですから塩自体にはかすかに残っている程度でしょうと答えておきました。数日後、しょっぱいながらも飲むヨーグルト状になったとの報告があり、思わずにこりというかげらげらというか、うれしいのやらおかしいやらでした。

 海水そのものならば世界中で簡単に(そうでもない人たちはたくさんいるでしょうが、生涯海を見ないひともあるでしょうね、また岩塩にはにがり成分は含まれませんすなわち海の塩が岩塩になったのではなく陸地の岩塩と他の物質たちが海の水を造ったのです)手に入ると考えあちこちから「どうしたらにがりが手にはいりますか」という質問に従来と別のというか拡大解釈の形で説明できるような気がしました。そこでこのページを書いてみようという気になりました。ハリーポッターの結末である第七巻は一番最初に書かれまだ出版しないで金庫に大事にしまわれ結末を意識しながら始めの方から書かれているとのことですが、私の場合は結末は五里霧中でとにかく宣言だけ先にしておき暗中模索で結果を出そうということで、途中でずっこけの可能性ありです。でもにがり豆腐のルーツをさぐる雰囲気でわくわくしてきます、でも回りのものにおこられそーだな・・・。

                             2001

12月10日.にがりを送っていただいている手柴さんに無理を言って「海水そのもの」を送ってもらう、ありがとうございます。500CCのペットボトル12本。極めて無色透明。これが海水???。本土沿岸のごみだらけの水しかイメージになかったのでびっくり。なめてみる。とろっとというかかるくどろっとというか、粘性を感じるやさしいしょっぱさ。生命の源だ。
 あしたにそなえて1本煮沸しておく。大事につかわなくちゃ。


12月11日. まったくのヤマカンの世界。そうとうに水でうすめられたにがりということで相当大量の海水が投入されなければならないと想定。かといって与えられた海水は500CC12本、ひじょーに貴重。
 70℃の豆乳5リットルに200CC入れて攪拌、全くの液体のまま。また攪拌、強く強く。全くの液体。にがり50CC追加、攪拌。液体。また攪拌、液体。にがり100CC追加。攪拌、まださらさら。うーむ。少しマをあける。液体のまま。50CC追加。まだ液体。なんかすこしどろっが始まったような気もするが。にがりの初期温度は外気温とおなじなので十数度かしら。にがりを加えた豆乳はだいぶ温度が冷えてしまった。これ以上海水を加えるのももったいないので、熱燗にしようかとも思ったが時間的に忙しいのでここで止め!!!!!あっちで家内が笑っている。
 完全な失敗でした。加えるものは塩ではなく海水なので加えれば加えるほどがまんのできないしょっぱさになるわけではなく、限りなく海水そのものの味になっていくわけでその点は味見は楽しいです。

12月12日.今日はもったいないので豆乳2リットルにする。海水ももったいないので200CCに固定し他の条件を変化させてみる。豆乳の初期温度85℃、これはライン生産の硫酸カルシウムやグルコンの凝固温度です。海水だとマグネシウムにとっての異物がたくさん入っているわけで反応が遅れるのは当たり前ですがさらになんといっても水分によって圧倒的にマグネシウム濃度は薄いわけです。よって高温でも即反応しないだろうとの考えです。
 いっぺんに全部いれる。攪拌に次ぐ攪拌。液体。また攪拌、攪拌、攪拌。なんとなく「さらり感」がなくなってきた感じ。海水を追加したいところだがもったいないので止める。その代わり下がった温度を補足するために熱燗にする。80℃に1時間。・・・・なんとなく、かすかにどろっとしている。またまたタイムアウト。しょうがないので冷蔵庫。2時ごろ帰ってきて確認、朝よりどろっとしています。飲むヨーグルトよりはもうちょいどろっとした感じ。
 なんか端緒がつかめた感じ。あしたもやっちゃおう。

12月13日.今日はかなり濃い目(といってもどろどろではないが)の豆乳1リットル85℃に、まず海水200グラム入れて攪拌、さらさら。100グラム追加、かすかに抵抗あり、かるーくどろっとした感じ。100グラム追加、どろーっとしてくる。ここで海水添加やめる。85℃の豆乳1リットルに10℃前後の海水400グラムというわけで温度はだいぶ下がる。熱燗にする。80℃で1時間。途中固まりが悪いと判断してかるくかき混ぜる。
 どろどろ感を残したままやっと固まっているという感じ。ただ途中でかき混ぜてしまったのが良くなかったとようでもろいみたい。味はしょっぱいが甘い。なるほど、これがぴーんと張った感じに凝固して、くずして型箱に盛り水さらしをすれば塩分がぬけるのではないか??? こうしてもめんの発想ができたのかな。



12月14日.今日は反応の遅さに甘んじてにがりを器に入れておき、即に絞りたての豆乳を入れる(ぶちまけ法)。豆乳1リットルに300グラム。熱燗で1時間。ゆるく固まっているが攪拌が強過ぎるようでざらざらな感じ・・・失敗。
 もう一回やる。今度は豆乳を容器に入れ、にがりを加えていつものように手攪拌。即熱燗。30分後ようすを見ると「やっとこさ」ながら寄っている。スプーンでかるく混ぜなおし(ほんとにおおざっぱにやる、ぐるぐるというのでは組織をこわしてしまいできあがりがざらざらになってしまいます)。追加熱燗1時間。まあなんとかうすーい豆腐にはなっています。やはりしょっぱいけど甘い。たくさんはたべられないでしょう。あしたはこれをもめんにして水さらししてみようと思います、塩がぬけるでしょうか。
    

もろそうだがやっとこさ寄っている。 張りがない感じ。 でも「かたまりが・・・」 超薄のにがりでもいちおうは・・・

 

12月15日.今日はとても忙しくてゆっくり湯煎していられないということで早く片付けようと思いました、これがいけない。つまり反応を即起こさせようと思って海水自体を80℃まで暖めておきそれを80℃の豆乳に入れて攪拌しました。
 通常のにがり攪拌では考えられない"高温"なのですがマグネシウム以外の余計物(水分も含め)たっぷり入っているというわけでこの手にでたわけですがこれがまったくの失敗へと導いたのです。
 要するに高温化攪拌の典型である「ざらざら、もろい」がもろに出てしまいました。これはもうどうしようもなく「飲むヨーグルト」です、しかも水にさらしてもどろどろが薄まるだけで「かたまり」というものが無いわけですから水きりのしようがないわけです。

12月16日.きょうは昨日の反省に基づき慎重にやりました。海水の加水が多いわけで温度はすぐに下がるのはわかっているのですが慎重には慎重をきして豆乳を70℃まで下げて海水を加える。豆乳1リットル海水300グラム。一度よくかき混ぜたらそのあと絶対にかき混ぜない。85℃で1時間熱燗。柔らかいのはわかっているがつるんつるんにきれいによっている。りっぱなきぬ状なのですがいかんせんやわらかすぎる。水の中でうつわから出せば出せ(器にはりついているので針金で器の内径に応じてカタカナのコの字に折り曲げ、豆腐の器へのはりつき面をはがしておくこと)なくはないだろうがつるつるということは完璧に化学反応しているので塩分すらしっかりと閉じ込めているので「塩抜き」はおそらく良く出来ないだろうと思います。もっとも豆腐はしょうゆをかけて食べるくらいですから塩味がついていても"異様"ということはないですが。
 そこで写真のように、スプーンで山盛りすくい上げるような感じで凝固している豆腐を「かるーく、おおざっぱに」くずしてやります、あくまでもおおざっばということが大事で「ぐるぐるかき混ぜは禁物」。これを型箱に盛ってやるともめん豆腐ですが面倒なのでこのままいきましょう。まず白いお汁がでてきますのでそれを豆腐の固形分がこぼれないように捨ててやります。あるいは小さいざるのようなものがあれば固形分をそこにあけてしまいます。次に固形分を壊さないように水を器に加えます、こうして塩分が抜けていきます。これを何回か繰り返して適当な味のところでやめましょう。器にもって「寄せ豆腐」出来あがり!!! さらにざるにのせて水きりしてやると甘味が出てきてざる豆腐出来あがり!!!

つるつるに寄っています。 膜すなわちゆばを取り除く。 スプーンですくうと・・・。 こんなにりっぱに寄ってる。
ぷりぷりです。
塩抜きは数回繰り返して適当な塩の抜け具合を見計らってできあがり。そのまま皿にもって出してもいいし、ざるで数時間〜半日程度水きりをさらにしてやると甘味が強くなってきます。
容器全体にわたっておおざっぱにくずしてやります。 塩抜きのため水をはってやります。 数時間時間をおいて水を切ります。固形物が流れないように注意。

以上をもって海水豆腐の考察はひとまず落着といたしましょう。
ずっこけなくて良かった!!!
意外と簡単に決着がついてしまいましたね。
沖縄ではどんな感じでやっているのでしょうか。
きれいな海水を得ることのできる方からのレポートをお待ちしております。

くれぐれも日本本土ならびに世界の各大陸の大都市沿岸の海水は使わないでくださいね。太平洋・大西洋の真中の島にでもいったら取ってきてください、また遠洋航海・漁業に出かける知り合いの方がいらしたらお願いしておきましょうね、火星の水分は海水に近いのでしょうか、にがりが入ってる可能性があるような気がします。
世界各地、宇宙各地のにがりを使って味比べをしたいものです。
使う前は煮沸しましょう。

2002/5.01 P連のお友達の栗ちゃんは50歳過ぎたダイバーですが、こないだ石垣島でとってきた海水をペットボトルに入れといてくれたのですが、お譲さんがミネラルウォーターと勘違いして飲みかけ変な味がしたというので捨てちゃったということでした・・・ななななんと。
 また取ってきてくれるとのことでした。
 こういう友達は宝物です。
 またレポートします。

執筆記録
初稿/0112.05-12.15 2002.5.01