TOPのINDEXへ 全国大豆めぐり
かむろ研究室
2001.
1.生絞り法
豆腐に関心のある方なら一度は聞いたことがあるかとは思いますがこの「生絞り法」。 豆腐業界の主流は大豆をつぶして加水しそれを煮てから絞って豆乳をつくるというのが常識になっています。
ところが伝統的に大豆をつぶして加水したあと即絞って豆乳を絞りそのあと煮るというやり方をやっているところが少数ながらあります。昨今では人のやっていないことをやればすぐ「ハイレベル」なものというイメージにのっとり量産ルートにのせたとてもにがり豆腐とは思えない甘味も香りもなんにもしない「生絞り」豆腐が出回っています。
一応業界では、生絞りは生の大豆を絞ってしまうため出てくるエキス(それと同時に「あく」)が少ないためさっぱりとした味となる、悪く言えば「薄い」味になるというのが常識になっています。 常識ほど疑わしいものはないのでそれではちょいと調べてみようということでここのところ何回かためしています。
8月31日. 初めてなので加水量がふだんのと同じで結果として「薄い」豆乳になってしまいにがり豆腐にするのはやめました。
9月5日.今度は加水に気をつけてやったおかげで濃くはとれたのですが豆乳を煮る時間が短すぎてなんか生煮えのようでした、後味が残りいい感じではありませんでした。
9月9日.重陽の節句。加水を少なめ、煮る時間も十分とりいつもの方法で寄せてみました。反応はいつもと明らかに違ってちょうど生煮えの時や温度高すぎのときのように対流しながらゲル化していく豆乳の変わりようがながめられました。「またダメか」と思いつつも30分放置し、しまったところで水槽にあけるとなんと「つるつる」に寄っています。触感最高、甘味もそこそこありましたが甘さの性質がふつうのと違い「甘さの強さ」はないですがクリーミー感ねっとり感は十分あります。ナカセンナリ対ギンレイの普通法時の対比における「ねちょ」対「さわやか」の時のさわやか系に「さっぱり」を付け加えたという感じ・・・・・なーんだ単に「薄い」んじゃないか・・・でも薄いのとはちょいとちがいますね???。 豆乳を飲んでみてもわかったことですが普通のより「きめ細かさ」が感じられました。普通のやり方のはなんというかおおざっぱというか「ざらつき感」の感じられる味・触感でした。
いずれにしても今回のでは生絞り法と普通法との比較において豆乳の濃度を「同じにし」かつ煮る時間も同じにしということを統一してなく「ヤマカン」でやったので公平な比較にはなっていません。どちらかというと生絞り法に気を使いすぎていたのでそちらにえこひいきしたような感じになってしまったかと思います。
しかしです、一般のなおかつ自分自身の類推から思っていた「生絞り法」は薄いというのは正しくないということがわかりました。非常に濃厚で「ねっとり、つるり」感を作り上げられる優秀な方法であることがわかりました。甘さは落ちます。ただしにがり100できちんと寄せるということはいうまでも無いことですが。 まだまだ研究の余地あり。
9月10日.今日はふつうのひと釜で煮る量でやってみる。イベントのトン汁と同じで、ある程度量がまとまったほうが煮たときおいしくなるというのは大豆でも同じ。
結果は良好でした。量の少ないときの実験はきぬしかやりませんがきょうは木綿にできました。おいしいです。よせとうふもさっぱりどころか濃厚です、そしてとろり感にすぐれています。
ついでに青豆もやつてみました。こちらは少量の大豆でしたが加水を間違え豆乳がうすくなってしまいました。しかし寄せ豆腐にしてみると薄いわりにはとても濃厚でした。
両実験ともにがりとの化学反応はきのうと同じ症状を示しました。これが特性なのかしら・・・これだけの事例では結論づけられないでしょう。
9月11日. 今日はひどかった。台風のせいかな、などといいかげんないいわけをしたりして。きのうと同じく一釜たっぷり煮て大半を木綿に、きぬ少しとごま豆腐を少しに作ってみた。まずごまを作る、対流がやはりきれいに出ず「生絞り」の特徴なのだからということを忘れ通常の感覚でいったのでにがりの量が少なすぎしまるのにだいぶかかったり未凝固部分が上の方に残っているかと思いきや、40分後に水槽にあけるとなんとばっちしで非常にうまかった。実はこの40分の間にきぬと木綿をやってしまうのだが、最初の状態を勘案してあとのものをやるので、それが失敗へとつながってしまった。
ごまでにがり過小ということに気付きややにがりを多めにきぬを寄せる、といっても通常と同じ量だが。また撹拌も少し強くやってやる。・・・。少し荒れ気味・・といってもしろうとには見た目にはまったくわからない・・食べてみると微妙にもろい。しかし味はいい。
木綿はごまのことが頭にありしかも豆乳量が多いので失敗してはならじと気負いすぎて撹拌はやさしくやったがにがりの量が多すぎた。出てくる水(おつゆ)も微妙に黄色気味でこれは完璧な化学反応からはちょいとずれている。ざらつき、もろさが出一部にがみもあると思ったがもめんなので絞り・みずさらしによってにがみはぬけるでしょう。ただしねっとり感ねばりはないでしょう。いわゆる昔からよくある「かたーい」にがりもめん豆腐です、化学的には失敗の反応の豆腐です。
固形フレーク状の塩田にがりばらまき法だとにがりの液化に要する時間かせぎができるので技術的困難さはそんなにともなわないのだがここは、豆乳の状態が慣れていないというハンディキャップがあるにもかかわらず「生絞り挑戦第一ステップ」から海水にがり原液にこだわる。そういう性格なのです。
あしたはもっとよくなりますように。
9月12日.きのうおとといと良く降った。
今日はきのうの失敗をふまえ豆乳の濃さに気をつけなおかつ煮る時間をちょっと増やし、煮る温度も少し高めにとってみた。
きぬしか作りませんでしたがよく出来た。ただしぴーんとしたしまりは得られずどうしてもふにゃっとした感じになるのはしかたないのか。もっとも失敗というほどではないのだが。味は抜群にいい。寄せ豆腐などひさびさに感動を覚えた。
生絞り法をレギャラーにすることは現在の作業手順にあわせてならんだ豆すり、かま、絞りを変えなければならないのでちょいと当分は無理でしょう。ただ優秀な製法であることもたしかでときどきやっていこうと思います。
まだまだ実験は続く。
9月13日.映画の中でしか考えられないようなことがアメリカで実際に起こってしまいことばもない。ひどいものだ。
今日は非常にすばらしい豆乳がとれた。豆乳のうちから予感がした。煮る温度を高めにし時間もながくした結果十分に熟煮されにがりとの反応が完璧であることが観察できた。きのうまで生絞り法の豆乳とにがりの反応は通常法とは違う対流時の表情を示すと書きましたが、まちがいであることが判明しました。全く同じです。ただ「同じ」にするため若干手がやけます。時間がかかります。
生絞り法はまず生で絞る時時間が通常のにくらべ2〜3倍かかる。おからとの分離がやや悪いような気がします。煮る時間も多くとらないと「荒れ」気味の反応になります。
ただ味は抜群です。どちらの方がうまいかというより「うまさの質」が違うのですが「とろり、しなやか」という言葉がぴったりの豆腐になります、ただしきちんと寄せればの話。
9月20日.だいたい生絞り法の特性がつかめた。箇条書きにすると以下のようになるでしょう。
作る人にとっては
1.作業手順を生絞り専門に切り替えればそんなに大変なことはない。
2.歩留まりがわるい。同じ量の大豆でくらべると取れる豆腐の量が少ない、自分の場合8掛けぐらいになる。・・・・・要するにもうからない、高く売ればいいかな。
3.とても時間がかかる。
4.意外なことに低温すなわち生で絞る時に出るあわの量がすごい。したがって製作中に「泡との遭遇」が2回あることになる。
5.しぼりづらい、しぼり機が目詰まりをおこす。
食べてみると
1.決して風評のように「薄く」はない。用はやり方次第。濃厚さはあります。
2.香り・味が丸みを帯びているというかまろやかです。もちろん通常法でもそのようにできますが(香りというかえぐみは通常法の方が強い)。豆乳を飲んでみるといやな臭みが減じていることがわかる、皆無ではないですが。
3.濃厚さの性質が通常法とちょいと異なる、どちらが良いかという問題より好みの問題でしょう。
いずれにしても週一程度生絞り法を続けていこうと思います。(といってもここのところ毎日やっていますが)。
10月10日.タマホマレを生絞り法でやる。