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全国大豆めぐり

サトウイラズ

中粒から丹波の黒豆大の超大粒までさまざま。長野県の在来。伝播により新潟山間部でまかれ
さらに各地でこっそりとまかれている。非常に甘い。ねちょ甘体質で秘伝のすっきり"気品美人"に対して
肉感美人タイプである。高タンパク高糖質。"濃ければ濃いほど"を求めると失敗する。


2005


1.15日本100名山のひとつ雨飾山に初めて登ったとき・・・糸魚川側から小谷温泉側へ夜行日帰りで縦走しフトンビシの大岩壁を仰ぐ荒管沢の大雪渓を横断し終わったあたりから脱水症状となり苦痛のフィニッシュの山登りでしたが・・・頂上で知り合った伊那市の登山家の実家で無理言って作ってもらったサトウイラズである。新潟のではなく長野県α村のもので原種と思われる。新潟のは、所沢と関係が深く生協と友好関係にあり直売所もうちのそばにある、β町が有名です。
 ひとさやにたった2粒しかつかずしかもさや自体の数も少なく反収のきわめて低い大豆である。
 丹波の黒豆の"とびっきり"の次くらいの大きさまでに育った。
 無農薬で歩留まりは半分である。
 いいほうは残しておいて紫斑ややや汚れ・小粒をつぶす。
 高タンパクであるためそんなに"濃く濃く"と欲張るとどろどろ失敗となる。
 寄せは簡単である。
 うん、うまい・甘い。
 ナカセンナリがひねてねっちょりとなった時の甘さにもう一振り砂糖・・・いやいや大豆オリゴ糖かな・・・を添加した時こうなるであろうと思われる甘さ。藤原のりかさんの30年後といった感じ、彼女は洋服も着物も良く似合うひさびさの日本を代表する美人である。
 対極にある"超うま大豆"が秘伝大豆である。秘伝のほうが豆味のふくよかさという点では数段上かな。味のイメージとして"透き通っている"。甘さも数字の上では秘伝のほうが上なのだがバランス的にサトウイラズのほうが甘く感じる。ユキホマレはさらに甘いのだがややすっきりし過ぎていてイメージとしてはウィーン少年合唱団の透明度である。
 
 ただしこの大豆の味自体どちらかというと自分自身は男性のイメージがあるのですが、説明上女性として述べております。

 味のたとえは田舎もののわたしのことですから不適切かもしれませんね。

 それにしてもかなりいろんなところでこっそりと作られているようで稀少性は薄れつつあるが反収の悪さを考えるとそんなに簡単に手に入る大豆ではない。

 きちんとした技術がなければそれなりにまずくとまではいかないまでもたいしたことのない、ギンレイやナカセンナリの不適切加工程度の味になってしまう。特に"豆味"については他の甘味系の大豆と比較してもやや不十分と言えるので大豆の価格のことを考えると安易にはまってしまうのは考えものである。
 寄せが簡単であるだけに余計はまりやすい。

 自分の知っている範囲では鳥取・兵庫・京都・福井・富山・長野・新潟・栃木・福島でこそこそと作られているが、"晩生(おくて)"のため雪の早いところでは無理のようである。事実富良野で試してもらったが実がついたと思ったら雪となってしまったようである。


2005.3.17 ここのところ委託が多くて結構なことなのだが、体調が良くないこともあってややきつい。
 サトウイラズもここまではやっているとは想像が(ついていた、というのが本当かな)ついていなかったのだがしろうとのかたまでやっているということは相当なフィーバーぶりと言える。陳腐化街道ひた走りの珍品大豆と言えよう。
 やや粒はちいさい。紫斑も結構入っている。無農薬ということであるが歩留まりはどのくらいなのかな。
 タネは長野県ということである。
 
 ひじょうにできはよかった(はずである)、味覚がまだ完全ではないので視覚的に判断してのこと。家内に食べさせるとExcellentであった。カメラでいうとMintというのもあったな、何せ"視覚"なので。
 これはだれがやってもうまくなる(はずの)大豆である。高タンパク高糖質。おもしろみは・・・・、平凡かな。
 しかし完璧な制作にかかると後光が差す豆腐となる。
 チャンピオンはチャンピオンである。
 
 チャンピオンに対する敬意を欠いている自動豆乳プラントなどで炊く大豆ではない。
 

2005.5.02サトウイラズのページに"合成サトウイラズ"を書くのもへんな気がするのですが・・・。
 前にもプアマンズ・サトウイラズ(poor man's satouirazu)貧乏人のサトウイラズについてどこかに書いた記憶がありますがどこだか忘れました。
 プアマンズ・・・、ということばは往年のカメラ業界のはやりことばでワールドワイドに使われた言葉です。すなわち「プアマンズ・ライカ」から来ています。ライカ一台家一軒の時代に、なんとか外見だけでもいいからというレベルからすこしはライカの技術レベルに近づこうしかも平民の買える低廉な価格で、という社会の切実な要望から生まれた現象・ことばです。
 さわっただけでこわれてしまうロシアのフェイクから戦後のキャノンの高性能機にいたるまでものすごい数の"擬似ライカ"が生まれました。
 わが豆腐業界のチャンピオン大豆にはいくつかの候補が上げられますがサトウイラズも有力な候補です。
 手に入りにくい、さすればブレンドでということになります。
 サトウイラズは日本大豆の味の二大潮流のひとつの象徴みたいなものですがおおざっぱに言ってナカセンナリ・ギンレイタイプに入ります、というよりナカセンナリ・ギンレイがサトウイラズタイプに入るといったほうがいいのかもしれません。これに対抗するのは秘伝・ミヤギシロメグループです。
 あくまでもおおざっぱな分類です。
 ということでサトウイラズ系の非安曇野堕天使ナカセンナリと新豆状態のこの時期の丸合タマホマレでなんとか近づけないかと試みました。
 ややナカセンナリ多め。
 豆の状態でのブレンドでかなり安定した煮炊き・味出しができます。
 やや甘味は弱いのですが、失敗したサトウイラズよりはだいぶいい感じの「偽サトウイラズ」ができると思います。
 味覚はかなり感覚的なものなのでいろんなひとがやってくれると助かるのですが。
 ただし表示はきちんとしなくてはなりません。
 にせものはしょせんにせものでオリジナルの尊厳を傷つけてはなりません。


2006

2.01以下の3つはすべて津南の無農薬ほぼ無肥料のサトウイラズを蒔いたものである。目黒の桜井さんのご好意による。収穫したものは見た目が多少異なる。オリジナルの津南のは粒が大きく裂皮は少ないものの紫斑は多い。福井のはややつぶがちいさい、色はきれいである。結城の大島さんのは津南と同等の大きさで裂皮が多いが虫食いや紫斑という点では一番きれいである・・・選別がいい。
 水につけると膨張率の順でいうと茨城、福井、津南となる。茨城は漬け水がかなり白濁している。
  
 津南産
。高タンパクといえる。豆乳の甘みはやや低いかなといった感じで豆味のほうにかたむいている。無農薬無肥料ということでこれがこの豆の本来の味かなと思う。凛々しい若武者のイメージである。無口なつわもの。"味"は日常の習慣からくるもので、「ほんものの味」というものはやはり再教育がいる。
 福井産。豆乳の段階で「あまいなー」と感心した。同じ日本海側ということだが夏の気候は似たようなものかしら。野生、はやや失われているが豆味はゆたかである。寄りはややへろへろに移行しているといえる。肥料のリン酸分の影響か。
 茨城産。豆乳がとんでもなく甘い。びっくりである。漬け水が白濁しているのは裂皮によりふやけたときの双葉の分裂によるものと思われる。しかし一番甘かった。豆味は洗練されてて野生は失われているともいえる。それにしても甘い。凝固は寄りにくいほうで軽くタマホマレのような感じ、タマホマレができればなんのことはない。


2.02津南産をやり直す。きのうの豆乳は角がたっていた、バリがあったような感じで反応もぱりぱりしていた、無肥料であることに起因する煮不足であったと思われる。
 きょうのは消泡剤を使ったかのように「ねとーっ」と炊けた。しかし甘さそのものは強くはならない、昨日の茨城のはずば抜けであった。甘さはやや劣るのだがこの津南のは甘みと豆味とのミキシングが絶妙なバランスの上になりたっておりほんとに「うまい」。
 野生を強く内包しているものの煮方はこんなものだろうか。
 煮方しだいできわめて洗練された味となる。
 無肥料=淡白な味・野生味残存、というのはいいのだが野生味そのものは煮方ひとつで味のひきたてにきわめて威力を発揮するもののようだ。。
 この豆は目黒の「りせん」(目黒区本町4-2-6、電話03-3712-5419)さんが一年通して使えるものなので豆腐好きのかたはぜひ買い求めてくださいね。
2.03 以下は栄村タネ起源。
宮城県産
。生豆はだいぶ色がとんでいて色が出ないときの秘伝みたいである。ていねいに煮る。豆乳の色がくすんでいなくてとても白い、これはメリットかな。外見と違って味のほうはやや「くすんだ」感じできのうの津南のに近い。豆味は豊か。寄せやすいタイプだと思う、対流は悠揚としている。甘さはやや控えめ。

所沢産
。これは自分ちでやった無農薬無肥料のものである。ただし100%虫食い、ひとつとして完粒なし。漬け水はひどく白濁している。膨張率もすごい。思い入れからかていねいすぎる煮方となる。へろへろ寸前かもしれない。無肥料なのだが桜井さんのに比べると野性味がやや欠落した感じで甘みが強いようである。きのうおとといのも入れて茨城の次に甘い感じがする、ただし遠くのほうに「にがみ」を感じる、野生味ではない。虫食いの選別をもうちょいときびしくしたほうがいいようだ、ただし普通のひとにはわからないかもしれない。前回新年会に持って行ったのだがだれも感じなかったようだ・・・というより気を使ってくれてだまっていたのかな。いずれにしても次回は裂皮となるので期待できる。

駒ヶ根産。このタネは宮城・所沢ルートとは別口で栄村からの直接ルート。無農薬ということである、無肥料というよりすっぽかしということだ。粒がでかい。桜井さんのと同じくらい。じっくりと煮る。豆乳を飲んでほれぼれとしてしまう。「甘い」というより「うまい」のほうである、もちろん通常よりずーっと甘い、長野といっても栄村とはだいぶ位置が違うのだが。きょうはみんなていねいに煮たせいか荒削りの感じのものがなくこれも上品な奥ゆかしい味となる。

 いずれにしてもこの品種はみんな一直線上の味になるようだ。関東在来のような大きな味化けはない。気候の差よりも土壌や農法によって味が左右されるように思う、・・・もちろんそんなに大きな差は出ないが。


3.31 2回目。
 高たんぱく性は他と比べて平均的といえる。
 甘みも中間。
 雑味の良さに感動する。
 つまり極めてバランスのいい味である。
 ただ通人からすると津南のものには及ばないと言われるだろう。


2007


4.03 去年産の虫食い・割れ豆100パーセントはね豆である、美虫食いという。
 おととしのは縁側に放置しすぎてはっきりいってまずかった、過乾燥。
 きょうつぶしたのは脱穀・選別したてでつい最近までさやの中に入っていたものである。
 豆乳はやや黒っぽい・・虫食いのせいだろう。
 飲んでみると美味である。比較的さらさらしている。
 豆腐はやはりおいしかった。ちょっとしまりすぎてしまったのだが甘みは予想していたよりも甘かった。雑味はこの種としてはやや弱かったかもしれない、無肥料なのだが。
 栄養過剰地での無農薬であったがちょうど一反程度で美品が160キロほどとれたので無農薬としては豊作といえる。カメムシ害はほとんどなく紫斑もほとんどない。
 知り合いに配る。