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全国大豆めぐり

大袖振り
北海道の音更町産、大粒、ややかため、やや緑色がかっている、
関東のスーパーでは節分の豆まき用として有名

                                    2002
2.19 これは甘い大豆です。ただしかたい・・・煮るのに一工夫。
 ナカセンナリやギンレイと同様に煮てみたがなんの感動もないというか青臭さの一端がかすかに感じられた。もちろん香りではなく味の一端にそれを感じる。煮方が不十分だと思う。でも食べていてなんか奥深ーいところから主張しているいろいろな味たちの声が聞こえる。

2.20 今日は温度高めで時間も長く煮る・・・・。やや煮すぎかな。 なんか焦げの一種のような香りを感じた・・・焦げるわけない煮方なのですが。やや温度が下がるとなんとへんな香りが変質している、なんだこりゃ。慎重に寄せる。不規則大乱れの対流でこりゃまいったな・・・。30分放置。通常寄せた時の観察で即成功不成功がわかってしまうので今日のもまったくダメと思っていた・・・。水槽にあける。何とつるんつるんの98点ぐらいの寄せです。やややっこ過ぎる。食べてみる。気になった香りはまったく何でもなくなっている。甘いなあー、うまいなー。

3.1 今日はよく煮えた。豆乳がうまい。摩周湖のようにずうーっと深みへ深みへとはてしのない"神秘的"な味が続いていく感じ。独特な濃さである。ナカセンナリとは似ているようでいてちがう。
光沢のないくろみがかった白で並べてみるとギンレイとはすぐに区別がつく。
 煮方によって可能性がもっと広がりそうな奥の深い大豆である。

3.2やや煮すぎだったかな。寄せはかなり規則性を獲得できていておもしろみがないとは言え、安心した作業となる、スリルはない。味は一級品だがふにゃりふにゃり。でも食べたらいいのだよなあ。

3.3 今日のは最高に調子よかった。つんつるてんかつしなやかかつクリーミー。こういうのは売るのがもったいない・・・。
 仙台の及川さんと船形山に登った時の下山コースで訪れた、当時佐藤むねゆきが自然保護運動の一環として毎年開いていたコンサート場(としかいいようのない山の中の単なる広場)のそばだったかな、・・・沼というのがあってそこでストックによりかかっている及川さんのスナップが私の脳裏に焼き付いていますが、そこのしずーかな湖面のさざなみ・透明な水・こずえを渡る風の音・・・、そういったものを思わず連想してしまう味、それが今日の大袖振りであった。

8.10 久しぶりに仕入れる。
 煮方を前回とは大分変えている。簡略版のていねい煮。
 リュウホウ、オオスズのあとにやったので甘味が引き立つ、ただし毎日甘味系をやっているとさほどのことも感じられなくなってきた。甘味の質は北海道全体に言えることだが「まるみ」を帯びている。妙な「ねちょ癖」はない。
 人間は刺激に対して麻痺するものなのでこの「まろみ」甘漬けになると飽きてくるものと考えられる・・・「ねちょ」を求めるようになる。
 
 さて凝固特性だが前回・・・といっても何ヶ月も前・・・と比べると今日のはかなり安定しているほうだ。きれいに寄る、豆乳の力も強い。

 寄せた直後もうまいがさらして時間がたってもうまい。

8.21ていねいに煮てやる。追い煮なし。
 豆乳がうまいなー。豆乳目的ならやや薄めのほうがいい。こういう深い味わいというものは静かな哲人を思わせる。はでとは対極にある。かといって渋いと言うのでもない。明らかにうまい。誰が食べてもうまいというだろうな。

 やや柔らかすぎてしまったが冷奴には最高。ねっとりがたまらない。関東では豆まき専用の大豆みたいに考えられているがいいお豆さんです。

 孤高の旨さを持っている。

8.30 忙しすぎてやや不注意。ぴしりと締まりすぎ。うまみが半減してしまう。
 どんなに上手に煮てもフィニッシュの寄せが悪いとこういうことになる。
 煮方が良ければ寄せが安定するということは確かだが、実は化学的に100点満点はややおいしさに欠けるのである。少しずらしてやる、その塩梅の技量が職人の美意識とイコールなのである。

 きょうのはやや劣る。

8.31 急いでいたのできょうも締まりすぎ。だめだなあ。ねっとりがないのでうまくない。寄せのずれが必要だ。

10.26 久しぶりにやる。真っ白大豆がほとんどの国産大豆の中では数少ない茶目の大粒。すがたがかわいい。
 久しぶりにつぶす。あまいナなー。旨みも深みを兼ね備えている。北海道全般がそうかな。
 無消泡剤でもかなり旨みも出せるようになり、寄せのむつかしさも相俟って製作はとてもおもしろい。これで湯葉槽で温めてみたい、とろとろ湯葉はうまいだろうなー。
 やや締まりすぎでもう少し弾性がほしかった。ただ食べてみると粘性もあるのでまあいいかなというところ。きぬはおもしろい。にがり技術のすべての基本がここにある。

                                2003

2.01 この大豆はどちらかというと巨大な粒の大豆をイメージ(というか実際)してしまうのだが今回入手したのは中粒。白とうす緑まじりの色は大粒と同じである。等級のところに2.4と書いてあるがこれはどういう意味かしら? 直径の2分4厘ということかしら・・・それよりもずっとちいさい気がしますが。
 タマホマレと同じ位の浸漬時間だが、ちいさいので良くふやけている。
 タマホマレよりも若干熱を余計に加える。圧力も加える。消泡剤使用のと不使用両方やる。使用の方がすっかり熟煮された感じだが無消泡剤のほうがかすかにキレのある青さをもっている。そんなに変わらないかもしれない。
 ちんたら絞りをやる。
 すごい甘い豆乳となる。ストレートに甘い。たまちゃんの甘味とはちょいと違うかな、ギンレイほど明るくはない。これも熟成の範疇に入るのかな。以前使っていたナカセンナリも正月を越えるとこのようになってきた・・・今冷蔵庫に保管してあるはなんか全然だめみたい。
 甘すぎて飽きるかな。ブレンドがいいかもしれない。
 こういうのは逆に新豆のほうが味としてはいいかもしれない・・・といっても新豆のときにこの豆をつぶしたことはない、単なる推測。
 
 もうちょっとキレを出そうと3回目を煮たが、こんどは完全に青くなってしまう。こりゃだめだ、でも甘い。
 たまちゃんで同じことをやると恐らく廃棄だと思う。
 
2.12 ここのところ毎日。ひねひねのあまーい味となっています。
 青さと煮すぎの限界線にうまいところがあるのだが、温度に敏感ということで煮沸には神経を使う。
 自分の人間時計もけっこういい加減みたいで出来にやたらとムラが出る。
 そこでなんとお勝手で使うタイマーを買ってきてもらい使うこととした。
 人間シャッタースピードでは結構あっているのだが十秒以上というのはまったくあてにならないことに気づく。
 一分の差が大きくでる帯域がある。
 これから毎日お世話になるかな。
 もちろんほとんどの大豆はこんなに神経使わなくてもすむのですが。
 すこし薄くとる。
 よーく絞れる、快調。
 いい具合に炊ける。
 どろどろ感減少。
 きれいにつるつるに寄る。

2.17 タイマーを使うようになって調子いい。
 やはりこのての大豆は熱と時間の関係がきわめて重要である。
 ほとんどの大豆はおおざっぱですが。
 さらさらの限界の時間がつかめる。
 ただしこのロットの「今」だけに通用、という鉄則であるということは肝に命じなければならない。
 たまちゃんよりはおおざっぱである。
 高糖質、軟質系は煮るのがやっかい。

8.23 2001年産の小粒。もう9月にもなろうというのにまだおととしのがあるということは問屋さんの誤算で買いすぎたか約束していた相手がふったか倒産したかなのだろう。いつになっても去年のを出してこない。
 さてこの豆は中粒の小といった感じ。
 ひじょーに甘い。
 値段も6千なんぼということでふつーだと思う。
 煮方はそんなに神経をつかわないがいいかげんにやると青くなったりする。
 かなり濃いつもりなのだがひじょーに力がない。
 タマホマレの7割レベルである。去年産オオソデフリの8-9割程度である。
 ネチョ甘体質。
 熟成している、ということなのか否かわからないが去年産のと比べると添え味というものがかなり足りない。
 「雰囲気」にあたる部分が欠如しているのである。
 絞り込まれている味といっても自分の好みではないな。
 去年産のほうがいい。

8.28 音更はオオソデフリ産地の代名詞である。ここののまず間違いはない、いい大豆である。
 一般に「甘いだけ」のしつこい・下品な豆腐になりやすいのだが作り方次第で気品は引き出せる。
 今使っているのはひねひねの2001年産・中粒ではあるが冷蔵保存が利いているため熟成されたいい味を出している、やや盛りは過ぎているのかなとも感じ取れるが。

 芽室というのはどの辺かよくわからないのだが家内に聞いてみると音更の「こっち、むこう」といった位置関係らしい。気候等は同じと考えていいのかな。
 こちらは大粒に若干小さいのが混じっていたりする選別のやや劣ったものではあるがつぶしてみると非常にいい。音更のより添え味豊かで口のなかへ入れた時の「ふわーっ」が抜群である。これは産地云々というより「経時変化」の問題だと思われる。三等級でこんなにいいのだからなんというのかな「ランク」というものはわからない。
 力は音更のはへろへろに弱くなってはいるが粘性は失われているわけではなく作り方次第である。芽室のはキタムスメ、トヨマサリ、ギンレイ・・・等と同じレベル。
 タマホマレと音更をやるときは要注意である、両極端の典型。
 
9.05 オオソデフリというのは9割が音更で1割はその他ということを聞いた。
 ひとつの強力なブランド性を「音更」によってアピールしたいものと思われる。しからば何が「音更」なのかであるが・・・。
 糖度だけなのかな・・・また、みどりと黄色の「まじり」にも意味があるらしい、ただこれは外見のこと。
 芽室のもよくよく見ると「音更オオソデフリ」となっている。

 2001年音更2002年芽室ではだいぶ味に開きがある。別物のようである。
 2001年産のねちょ甘は一年分の「冷蔵代」の成果なのかな?
 まったく同じものの経年変化差でないのできちんとしたことはいえませんね。

 しろうと受けはなんといっても2001年産音更に軍配があがるに違いない。

9.28 2001年産がだいぶひねすぎかな。冷蔵保存してあったものは配達されたらすぐ使ってしまわないといけないと思う。たしかに旨いのだが「飛んでしまった」添え味が多い。「含み」というものの大切さを再認識する。「ひねる」ことを意識しての注文が多くて2年も前のものを売っているのだろうがここらへんが限度かな。
 濃すぎてへたに煮るとくさみが出る。うすい分には問題ないようであるが。

 2002年産芽室は2001年産と比べると別種のような異なった味である。やや大味である。キタムスメのほうが甘さがある上に味のバランスというか総合点では上のような気がする。

 長野県の安曇野ナカセンナリが手に入らないそうである。どこぞ大手が買い占めているとのことらしいですが大豆がかわいそうである。
 ブランドを有名にすると必ずといっていいほどこういうことが起こる。だから自分も『大豆めぐり』を書くのはいかがなことかとも思われるのだが。
 大豆はみんなに開放されるべきである。
 また大豆にも製作者を選ぶ権利があると思う。

 ナカセンナリを越える、という言い方はへんだが「超うま」の大豆はほかにいくらでもある、要は製作者の「おもい」と作り方だけである。


2006.3.07前に比較したときと同じことがいえる。今回のはおととしのもので芽室産。問屋さんは違う。・・・けど味については同じことがいえる。
 甘みはさほどではないが煮方によってはそこそこ出る・・・が、びっくりするほどではない。豆味は・・・似てはいるが豊かというほどではない。寄せは早い。値段は安くなった、去年の6掛け。
 要するにダメである。本場の音更のとはぜんぜん違う。タネのせいなのか土地・肥料のせいなのかはわからない。音更の味を覚えてしまったものにはとてもこの大豆は使えない。残念。


2006.3.08 毎年この時期になると"へんな"ものが出てくる。
 今回のこのオオソデは契約栽培ですべて加工業者の倉庫におさまったものが処分しきれずに問屋さんに出もどりうちへ流れてきたものと思われる。
 問屋には罪はない。
 返品するなら契約なんかするな!
 
 きょうはうちの最低ランクの、すまし粉もめんにする。
 なんときわどいところで"荒れ"そうになる。すまし粉で荒れるなどというのははっきりいってとんでもないひね具合である。普通で4、5年程度いいかげん保存したものとかあるいは夏季に冷蔵保存しなかったものがこういう具合になる。
 こういうものは売ってはいけません。
 畑にまくしかないでしょう。動物も"うまくねえとさわぐでしょう。

 ひどい豆だ。


2007

3.11 前回やったのは去年の7月か8月だと思ったが何も印象がなかったせいか何も書かなかった。可もなく不可もなくなのか?
 きょう久々にやってみて改めてこの豆のすごさにびっくりする。
 アセチルピロリンはこの豆の新豆状態の時には出ないので"3拍子そろって"というわけにはいかないが甘みと野生味がすばらしかった。甘みは明らかにサトウイラズを越えている。雑味はサトウイラズより明瞭である、が(変質種も含む)小糸・関東青皮在来よりも品位にあふれている。値段も7000円程度がことしの相場なのでCPにもすぐれている。文句のいいどころがない。
 日本一を競う味のコンテストがあったとしたらこの大豆を持参すれば可能域に入れるはずである。
 お金を出せばだれにでも手に入る品種なのでこの品種と戯れることは美味追求のものには必須の品種と言える。北海道で一品種選ぶとしたら明らかにこれであるが、日本で一品種選ぶとしてもこれをあげるものがいてもおかしくない、ただし農家・播種地によってかなり味に差が出ることもいなめない。
 絞り機から出てくる豆乳の美味はいうまでもないが夕飯で冷えきった豆腐を食べても異様な甘さ・旨さにびっくりした次第である。


4.19 今日は給食用の豆腐がたくさんあり漬ける量を間違えてしまったためオオソデはすべて学校・病院給食用に回りました。給食用は量が多いのと、固めが要求されるのでにがり100%でなく混合にがり瀬戸の味no.1で固めのきぬにしてありますが旨すぎてにがりきぬのようでもありました。こういうのって難しいことです。