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全国大豆めぐり
フクユタカ
九州、大粒、薄い茶目。生大豆の時からいかにも白さが目立つ。
11.19 こだわりの豆腐屋からはこれほどばかにされた大豆もないだろう。高タンパクということで凝固が簡単ということ、味が単純であるということ等・・・。
30年ぶりにつぶす。 かなりどろどろで15度は出ていると思う。
豆乳はすっきり甘いという感じかな。
寄せる。・・・・・わあっー。
なんとクリーミー。甘味もたっぷり。添え味がすっきりというかさっぱり・・・しかし単純陳腐というのとは違う。
恐れ入りました。すばらしい大豆だ。
この大豆の悲劇は適切な製作者をみつけられなかったということだろう。
このクリーミー感はタンパクの多さからくるのだろうか・・・もちろん適切な寄せによってしか得られないのではあるが。
青森オオスズ、ウオヌマエンレイのように旨い!
2003
4.17 茶目の大粒で姿が美しい。
高タンパクゆえに、だれでも簡単に・・・、ということでバカにされている大豆だがとんでもない誤解である。
これは極めて完成された品種である。
なぜこの品種に着目したかと言うと去年やった「まるごと大豆」豆腐の試作からである。
非常に甘かった・・・こんなはずはないのだがと「まるごと大豆」の研究メーカーに何度も問い合わせたのだが答えはやはりフクユタカだという。
自分が豆腐屋になって最初にやった大豆がナカセンナリでその次にやったのがフクユタカであった。ナカセンナリの柔らかさにこりてその正反対のフクユタカに・・・ということであった。
あのときも確かに豆の味のいっぱいするうまい大豆だが「ひねだしてくると」急速に味がなくなってくる、という印象がその後ずーっと頭のすみにあった。
冷蔵保存なんて発想がまだ普及していなかったのだと思う。
さて今日は14度強を想定して加水する。
良く煮え良く絞れた。
豆乳がうまい。やはりクリーミーである。高糖質系の「ねちょ甘」は感じない。
軽いのである・・・ただし安っぽくはない。
ホロヴィッツのあのピアノの音の軽さである。高貴な軽さである。
寄せる。非常にきれい。ちっちっちはほとんどない。かすかに寄せすぎといったところで、クリーミー感がものたりなかった。高糖質ではあり得ないクリーミー感が出ないとこの大豆の特性を活かしたことにはならない。
でもまあ甘いし豆の味もいっぱいである。青くはない。
やりがいのあるとんでもない楽しい相手でこれからが楽しみな大豆である。
生産量が多くて獲得困難性には乏しいためホロヴィッツにたとえたのはホロヴィッツに失礼かもしれないのだが、でもそれしかたとえようがない。
タンパクが多くて甘味も旨みも多い。
美人すぎておもしろくもなんともないということは良くあるのだが要は「活かしかた」次第である。
ずーっと研究していきます。
11.05 ある意味では・・・というより世間一般・・・超簡単・平凡・陳腐という形容詞が押しつけられているこの大豆、実は「おいしく」なれる可能性をおおいに内包しているすぐれた大豆なのである。
工業的に極めて完成された、すなわち安定性・許容範囲の広さから、大豆ということで人気が高いのだが「味の観点」から疑問視されているのがたまに傷というところだろうか。
ところがこの大豆高タンパクであるにもかかわらず「甘い」のである。甘さ以外の「味」もばっちしである。何よりもクリーミー感が抜群である。
一般にこの大豆は「簡単に」できてしまうということで熟練派からはばかにされてしまっているのだがどっこい長所をきちんと引き出してやるとすばらしい豆腐となる。
というわけで一釜やる。
濃すぎたかな? 煮過ぎたかな?
大どろ直前。
豆乳はまろやかで甘くてうまい。
寄せがいかにもきつそうというのは「どろどろ」を見ればわかる。
こういう時の寄せは神頼み的なところ、言いかえればヤマカン的な技術の展開を必要とする。
ムラ寄りを予想していたが意に反してきれいにつるつるに寄る。
若干強すぎたようだ。クリーミー感にとぼしい。これではライン生産でもできる。
失敗とする。
あしたもやろう。
11.06 きのうよりやや薄く煮る。
さらさらに豆乳がとれる。
たんぱくの多いのが原因なのかどうかわからないが攪拌時の対流のみだれは結構きのうと同じくやっかいである。
消泡剤を使うと乱れはおさまるのかもしれない。
きれいによっている、完璧なのだが完璧ゆえにうまくない。
粘性はすくない。クリーミー感に欠ける。・・・・きょうも失敗である。
あしたはお休み。あしたは宮城のあやこがねをやる。
11.12 前回と同じレベル程度の濃さ。
煮すぎないように控えめに煮る。
出てきた豆乳はおいしいです。粘性はわからない、寄せてみるまで。
今日は藻塩にがりで寄せてみる。
やはりいつもと同じくどろべたの時の寄せ攪拌となる。
(さらにうすく12-3度程度だとやりやすいのだろうがうまみは物足りないと思う)
攪拌は神経を使う。弱すぎず強すぎず・・・あたり前のことなのだが、攪拌に豆乳を従わせるのではなく、目で見ているゲル化していく豆乳に合わせて出来あがりのイメージを描きながら手を動かさなければならない。
出来たてはうまい。甘さも十分である。
お昼に冷えたのを食べる。粘性も出ている、もうちょっと出てもいいのだが。甘さも全く抜けていない。触感は申し分ない。
この大豆は寄せがいのちである。
12.18 いつも濃く煮ようとしてどろどろにしてしまうのでやや薄めにする。
13.5度ぐらいなのかな。
煮方も控えめにしてやる。
絞る・・・いつもよりきれいに絞れる、おからもさらさら。
豆乳がやや薄いということは感じるが濃いときよりも甘いしうまい。
どうしても欲が出て濃く濃くといってしまうのが常だが。
きれいに寄る。ぴーんとして張りがある。
しかし高タンパク系でなりがちな「びしっ」と感はない。ここがみそである。
豆腐も良い。
これならば高糖質系と呼んでもおかしくない・・・たださすが「ねちょ甘系」ではない。「さらり甘い」である。濃厚感もある。
おもしろい、すぐれた大豆である。
2004
2004.1.25 ひと月ぶりにやる。
甘味系の大豆がみんな「黒っぽく」なっていくのに対してひねてもなお「真っ白」なこちとらはいい気分ですがすがしい。
やはりやや薄めに浅く煮る。
豆乳はさっぱりさわやか。
寄せは安定していてラクチンである、この次は少し濃くしてやろう。
軽く荒れているようなないような。
できたてははっきり言って「まずい」と思った、ムラユタカより甘くない・・・あれあれ。
なんかオオツルのような味の無いまずさを感じた。
・・・・・。
お昼に食べてみる。
やはりかすかに荒れているかな。
でもクリーミー感はある、甘味もある。
出来立ての時よりもうまい。
体調のせいかしらねえ。
あしたもうちょい濃くやってみよう、きょうのは13度ぐらいかな・・・なんとなくもの足りない。
ほんとはムラユタカと同時にやって比較したいのだが。
でも高タンパク系を一日に2種やることは我が家ではご法度である、油揚げは別よ。
2004.1.26 きょうは昨日より濃く煮る。14度は超えていると思う。
ていねいに煮る。
絞りはいい。粘性も意識されるほどには感じられなかった。
寄せも速いのだが速くないといった表現しにくい状況。
いい具合に寄る、少しムラ寄りとなる。
甘味はそんなに出ない・・・というか他の味に阻害されて前面に出てこないものと思われる。
他の味・・・そうだな、ミヤギシロメをやや浅く煮た時の味かな。
寄せ豆腐ならまったり感は簡単に出せるがきぬとなるときびしい問題である。
このまったりが出たフクムスメいやフクユタカは絶品である。
すぐれた料理人を必要としない、というよりすぐれた料理人はさらに引きたててくれるかな。
夜オオスズと食べ比べる。
全く別ベクトルといっていい。
こちらは全く着飾らない化粧なしの色白美人といえる。
1.27 きのうよりは寄せがよかった。
物置に放置してあった時間のせいなのかもしれないがやや味が劣化しているかな。
こんなに寄せがいいのにそんなに感動はなかった、・・・オオズズに気がとられていたせいかもしれない。
11.30 28日の忘年会にはいろんな種類の豆腐をもっていったのであるが実際にはみんなの豆腐があふれかえっていてどれがどれだかわからないような感じで、フクユタカも出されることなくおみやげ用に置いてあったものの結局だれも持ちかえらずのようであった。
あの日自分が持っていった中で最も問題作であったのはこのフクユタカであった。
さて今回のこの大豆は今年の3月ごろ買ってそのまま西日があたったりするようなところにすっぽかしてあったもので・・・もちろん意図的にではなく私の怠慢からである・・・保存状態最低である、こういうのはマネしないでください。
夏は30-40度程度になっていたものと思われる。
袋をあけてみるとかびが生えているわけでもなく、虫もわいていない・・・ということは無農薬でないことを意味しています・・・きれいなまんまである。一等級、大隈公の佐賀県は伊万里市産となっている。
普通に浸漬、砕き方もふつう。煮かたはやや強、濃さはやや薄めで13度台だと思う。
さらさらに絞れいい感じとなる。甘い。高タンパク系であるにもかかわらず甘いという究極の完成大豆と言える。
さらさら、が助けとなり寄せは緊張もないのだが、別におおいなる意図があるため気は抜けない。
この大豆は薄くてもしまりがいいため、また大豆自身が自ら凝固していく特性が大豆世界では頂点にある部類なので寄せも簡単と言うことで、数のたくさん取れ凝固の失敗もない「もうかる大豆」として重宝されている。
しかし、である。
そこそこにはなるがだれがやってもほとんど変わり映えのしない、個性の固定してしまった豆腐となってしまうのである。自然と固くなりすぎる。
以上の性質をよくとらえて「そのように」ならないようにコントロールするとうまいのができる。
大豆自身の性質に作る側が身をまかせる、というのが私のポリシーであるがここは若干のコントロールが必要となる。若干の製作者の意図をし込んであとは大豆/豆乳の成り行きにまかせる。
却って低タンパクよりもむつかしい大豆と言える。
今年は値段が高かった。日本でもっとも生産量の多い品種の部類に入ると思うのだが需要も多過ぎる。
連続する台風のおかげで来年も高そうである、九州はものすごい被害をうけたとのことである。
なお、保存がきわめて悪かったにもかかわらず非常にうまかったので新豆なら・・・・、と思う。
ただしかすかな寄せのズレで離水すると黄色い水が出るものと思われる、ひねひねはここがキーポイント。
2005
1.15 前回忘年会用にと使ったフクユタカと同じものである。
こんなに保存"態度"の悪いユーザーもないと思うのだが、腹の底に"なんだフクユタカか"という気持ちがあったのにちがいない。40度の夏の暑さ・・・、ごめんなさい。
生豆自体はユキホマレみたいな"ヤケ"はおきていない、カビはほとんどない、やや茶色くひからびたみたいのがかすかに入っていた・・・そんな程度である、比較的きれいなまんま、脅威である。
高タンパクということを意識しつつ煮る。
適切な煮え具合。豆乳がうまい・・・飲む用としても豆腐用としても適といえる。
さらさらの寄せやすいラクチンレベルでした。
忘年会の時よりはるかにいい豆腐となる。
色も白い。
高タンパク高糖質の名品である。
2007
1.28 フクユタカというのは九州でしかとれないものと思っていたら愛知県でも作っているとのこと、関東では聞いたことがない・・・しかしにせ在来種の多くがこの豆にそっくりであることを考えると東北以南どこにでも散らばっているものと考えてもおかしくない。とにかく生産量日本一の品種である・・・それだけにS社では今まで扱ってこなかったというのはひとつの見識と考えられる。そのS社新規扱い品種であるが、品種選ばずなんでもかんでも受け入れるというのも高い見識といえる・・・売れ残りしないように営業はがんばってください。
この品種でおいしかったのは数年前催事場にやってきた大阪(だったと思う)の藤野さんとか藤井さんという豆腐屋さんの豆腐で非常にさわやかなクリーミーさで豆味・甘みのバランスが良い名品であった。当時はまだ豆腐に甘味料やクリーミー感を出すために油脂を入れたりという邪道技のはやっていなかった時代で、大豆と水とにがりだけの豆腐で、生真面目な職人肌のなせるほんものの豆腐であった。フクユタカをおいしく仕上げられる名人技といえる。
すまし粉のもめんをひとつ、13度くらいの薄い豆乳で。
豆乳は・・・・ふつうかな。なんとタマやタチの2割増しくらいの大きさになってしまう、下がらないのである。かといって出来上がりがふにゃふにゃというわけではない、しっかりとつるつるしまっている。
この大豆の人気は歩留まりの良さがまずあるのだろう。大豆まるごとの時の実験でわかるようにほんとはとてつもなく甘い大豆のはずである、だが甘みがさほど出せない。
15.5度程度できぬにする。どろどろがすぐやってくる。攪拌に気をつける。
クリーミーな豆腐となる。一般に高タンパクとよばれるものの長所である。おとといイベントで来ていたざる豆腐は妙に均質にぴしっとよっていたのにもかかわらず食べてちょいとしてから"動物性"を連想させるクリーミー感が押し寄せてくる"あやしい豆腐様物体"であったが、ソレとはぜんぜん違うさわやかなクリーミー感である。前記の大阪の豆腐のクリーミーもこのさわやかなクリーミー感で口に入れた瞬間からぶわーっと口全体に広がる旨みと香りをもたらしてくれたものである。
こちらもどちらかというとさほど甘いという感じはしなかった。他の諸味に隠れてしまっているのかもしれない。
白光Bはこの味とほぼイコールと言っていいかもしれない。
真正白光はふにゃふにゃとしたどちらかというと高タンパクに感じられるクリーミー感の欠如した系統の大豆である。
フクユタカはあまりにも流通量の多い大豆なので、これで際立つためには相当な努力が必要と思われるが、それだけにやりがいのある大豆かもしれない。