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全国大豆めぐり
秘伝青大豆
この"秘伝"は形容詞ではなく品種名です。
山形県。大粒。薄い青。芽が黒くなく薄茶なのでおからがとてもきれい。
2003
2.15 山形県庁の大豆の担当者のかたからの依頼でつぶしてみる。
去年は東北、北海道農家のかたにはきびしい秋だったみたいで不作のようです。
東北は収穫直前の悪天候で大豆のできは大変よくないとのこと。
乾燥した大豆は見た目はいかにもあばただらけで大丈夫かなーといったところ。
浸漬は時間がかかる、実はいっぱいつまっていそう。
熱には強い、へたらない。
豆乳は・・・いつもの青豆の延長線上。あまい。
寄せにより豆乳の力の強さを確認。今やっているタマホマレよりさらに強い、ただしたまちゃんはひねこちらは新。
14度ぐらいの豆乳だと思うがすこしやっこいかな。
ねっとりとしていていい感じ。
大豆の見た目の悪さとは裏腹に内容はきわめていい。
去年大桃さんからいただいた青豆も秘伝だったがあの時のほうが甘かったかな。
ただし味の豊かさはこちらのほうがあるかもしれない・・・味の記憶はいいかげんかもしれない。
収穫ぎりぎりまで天候の問題がなかったのが幸いだったのだと思う。
自然相手の仕事は大変だ。
農家の方々の苦労がひしひしと伝わってくる。
4.09 前回から今までの間大豆の乾燥の仕上げと言うことでおあずけでしたがここになって仕上がったものが山形県の上山(かみのやま)市から送られてきました。
昨日の強い雨で桜もだいぶちってしまいました。ややさびしい。
他の大豆と一緒に水を張ったのだがまだふやけきっていずいい予感。
13度ぐらいを想定して加水。
ていねいに、攪拌も交えて煮る。
熱には強いタイプなのだろうが低めに抑え、その分長く煮る。
おからは茶目。さらさらかと予想していたがややべたべたである。
煮すぎかな・・・というより濃すぎた、といっても14度ぐらいだろう、感じ。
豆乳がうまい。
青さが消えてしまっているのでやや煮すぎといっていい。
よせはかるくへたったような様相を感じとれたが放置して水槽にあけるときれいに寄っている。ただし「ちっちっち」は多い。食べてみる・・・ねちょ甘だが粘性に欠けている。80点かな。
山形に送ります。100点でなくてごめんなさいね。
天候不順の中でかろうじて収穫できたものだけに大切に使わなければばちがあたるというものだが。
みてくれはやや悪い豆でしたが豆腐製造にはまったく支障なしである。
2004
9.06 この大豆は緑色が薄いためそのまま出すと「白い豆を混ぜたんでしょう」とまず疑われてしまう。消費者へのPRが大切である。産地ならともかく遠く離れた東京などではとくに。
きょうはなんとウルトラCというかなんというか5キロ強という極限の最低量で煮た。大丈夫かな。
蒸気の噴気孔を工夫してあるのでなんとかなるだろうと・・・またスクリューも軽く使う。量が少ないのですぐに温度が上がってしまうことに注意しながら比較的しつこく煮る。
大成功でした。かなり濃いです。14-15度でしょう。えらい甘いです。うまい豆乳です、こんなうまい豆乳も久々です。
寄せは黒神とほとんど同じような感じで難なく処理できる、すずかりはやはりむつかしい部類に入るのかなとこのあとやっている時に気付く。
秘伝100パーセントは色の問題があるのでたまにしかやらないが脅威のうまさを持っている大豆である。
しかし東北のこの近辺はなんでこんなにいい大豆ばかりあるのかしらね。
9.29 脅威の甘さ・うまさである。
だいたいいつも同じ感想の「まいうー!」になってしまいますね。
たいした大豆です。
2005
1.30 JAS認証農家の秘伝である。やや色がうすい。見事な粒であるがこの背後には5-6割のB級豆が存在するものと推定される。ぜいたくというか申し訳ない買い方だな。
さて青森県でJAS農家が化学肥料たっぷり投与でお縄になったようだが同時にそれをうたい文句に商売していた豆腐屋もお縄になったかどうかは別にして大変な目にあったことはたしかだろうと思う。
この精度はスタート時点から問題が多く有機の基準自体もアメリカと比べるときわめてゆるやかなため疑問視する向きも多々あったようで、それ以前から真剣にやっていたひとなどではそんなものいらないという向きも多いようだ。
JAS大豆を使っても豆腐にはそんなもの表示しないほうが気楽である。
聞かれたら小声で答えればよい。
さてこの秘伝であるが色はうすい。
収穫のタイミングを誤ったのかな。
煮炊きはやや濃い目にゆっくりていねいに。
すごい豆乳となる。
色を無視すると日本の大豆のチャンピオンは黒豆のX(丹黒でも北海道の光・祝い黒でもない)であることは言うまでもないことだが、その次に来るのがサトウイラズ、関東起源在来、そしてこの秘伝である。
私は全国のうまい大豆の分類を3つに分けて考えているがひとつがサトウイラズ、その対極に秘伝そして別格としてピンク性際立つ関東起源在来をおいている。
みんな値段が高いので気楽に使えるものではないがきちんとした加工者の手になれば大きな感動を社会に与え得る作品となる、商品というより"作品"である。加工を誤るとナカセンナリやミヤギシロメの失敗したもの程度となる。
豆腐は、えへへへ、だれにあげようかな。
4.11山形県の I 様に手配していただいた秘伝。色は濃いとは言えないがいいほうだろう。前回炊く量が少なすぎてへんな味になってしまった、けちるとそういうことになります。やはり余裕でと言うことで8キロ漬ける。
量がたっぷりとしていたので安心してたける。やや薄めで14度ぎりぎりといったところ。
豆乳はとてもうまくていかにも「いい豆」なのだが甘味は強烈には感じなかった。
寄せてみると・・・、やはり豆味の豊かな、甘味もかなりあるが「びっくりするほどの」甘味ではなく、全体的にきわめてバランスの取れたいいうまさとなっている。こないだの自分にとっての日本一の大豆・・・北海道でも丹波でもない・・・の次においてもいいくらいのバランスのいいおいしい大豆である。
ただし標準的な「秘伝豆」的な味は意外なくらいしないので、「あれっ」と感じるひともいるかもしれない。
上山市のはこないだやや煮方が濃すぎてどろどろになってしまい寄せがよくなかったのだが「びっくりするほど」の甘味であった、これはあしたやります。ほんとにびっくりする甘味でした。
4.12 こちらは上山市のもの。
みるからに色が薄いのだがこのてのものになりやすいのが秘伝。
前回はひじょーに甘くてさとうのようであった。
今回は適度な煮方というかやや甘味がたりなかったといえよう。
それでも冷えたのを食べるとだいぶ甘かった、秘伝らしい味となる。
4.13こちらは遊心相談役のY様提供の寒河江市産のおおっぴね。非常に色がしっかりしていて自分が扱った秘伝のなかで最も色が濃く(といっても明るい緑色なので濃いという表現も適切ではないかもしれないが)粒もきわめてそろっていて美しい。煮豆屋さんのキャンセルによって流れてきたということだったかな。かすかに黒目のものが入っているようだがこれは宮城ミドリや岩手みどりの類と思われる。
ヤナギヤのツインマイスターで絞る、本日設置。加水の見当がつかず薄すぎたようだ。
色は生豆とはうってかわってかなり薄い。きのうの上山市のようである。味は・・・いけませんね。ただし絞り機になれていないのでこれは正当な評価とはいえないと思う。この絞り機は絞れ過ぎてまったく加水の見当がつかない、当分は四苦八苦が続きそう。煮方も変えなければならない。
4.17そろそろヤナギヤの使い勝手というか濃度の出し方がおおざっぱに解りかけてきたようだ。ただし15度以上で、それ以下は却ってわかりにくい。12度程度だと今までとほとんど同じかもしれない。
山形市の秘伝、前回は雑味が強くて甘味が少ないといったバランスくずれの味となってしまった。
16度。どろがはやいかなと思ったのだが現実ににがりを投入してみると難混じり性が強く思ったよりゆっくりと寄せられる。それにしてもヤナギヤの絞り機だと出てくる豆乳の温度が85-90弱なので即寄せは無理。かといってだらだらと冷やしているとこのクラスの濃度だと「どろり」がすぐにやってくる。基本的に82度程度で寄せなければならない。
というわけで「複数おけ分散」をして冷やす。熱伝導のいい銅や純金製のおけでもあるといいのだが、手で持てないか・・・。
今回は甘味もたっぷりで雑味と組んですばらしい味となる。山形のI様に送ったのよりは数段上といえる。
11.16 ここのところずーっとブレンドで使っていたのだが久々に単独でやる。高タンパクであることに十分注意しながらぎりぎりの濃さにする、やまかん。
ばっちりであった。
とんでも甘である。糖度は光黒や祝い黒の次に来ると思われる、日本の2である。サトウイラズより甘い。
ひねの効果なのかどうかわからないが「ただ甘い」というのとはかなり違い豆味の良さがきちんと出ていた。
横田さんのところのもので色は残念ながら薄いのだがうまい大豆である。
もう収穫も終わっているのだろうか。
こちとらの秘伝はほとんどがぺったんこのまま終わりそうである、蒔いたのが7月後半じゃ無理もないかしらね。
2006
2006.4.20 単独でももちろんすばらしい豆腐となるのだがブレンド(する側、つまりメインではない)材としてもとても面白い素材である。
色がでない程度のブレンドなので自然と使う量は限られてくるのだがあまり少ないと混ぜる意味はない。2〜2.5割程度だろうか。
アセチルピロリン、味のつや、天然のねっとり、とげとげしない甘さ・・・プラスにこそなれ、マイナスにはならないはずである。お試しあれ。
寄せもパリパリ消去というかたぶん脂質の関係で安定したものとなる。
3.01 アセチルピロリンを含む青皮在来の皮の"青さ"が味や香りにどのような影響を与えるのかということの検証である。
大豆の青味・青かおり・褐かおり(アセチルピロリン)が皮の青さとたぶん関係あるだろうということはみんな見当をつけているところなのだが、あくまでも"なんとなく"ということなので実際にためしてみないと納得できない。
青皮は畑にいつまでも放置していたり保存時に光にあてすぎることによって青さの劣化・脱色がおきる。
真っ青な秘伝(2006産)と色落ちの激しい秘伝(2005産)をつぶす。
夕飯で食べる。
色についてはまったく比較にならない。真っ青なほうはあきたみどりや黒神・普通秘伝ブレンドのようである。薄いほうはほとんど黄大豆である。
真っ青のほうは味の緻密さ・複雑さ・豊かさを感じる。一見アセチルピロリンが弱いかと錯覚するがそれは新豆の春の息吹にかくれているだけである。甘さすら弱いように感じるがそれもほかの青味とのバランスで抑えられているのである。絶妙な美味である。・・・ただし煮方で諸味・諸香のバランスは変化するのでそのへんの按配も制作の楽しみといえる。
うすいほうは一見「味が濃い」と錯覚する・・・息子の弁。つまり新豆の味や香りの初期要素が数字で表して100あったとするとこの"うすい秘伝"はひねであることも考えると30ぐらいしかないと考えられる。
味や香りに隙間がたくさん、なのである。
アセチルピロリン顕著、甘み顕著・・・なのである。ゆえに"濃く"感じる。
息子は真っ青のほうが好みだ、と言った・・・色はもちろん評価に入れないで。
「ひねることによって熟成する、グルタミン酸のようなものが増える」という考え方があるようだが私は「ひねるとは、劣化一方の過程で諸味・諸香が整理されてまとめあげられていく過程である」と考える立場を取る。
それぞれの時期がみんないい。
が、"豊穣"はやはり新豆の特権である。
このような真っ青な秘伝を採るのはテクニックがいるのだが、はっきりいって「もったいない」の一言であるが、つぶしてみて後悔はないことに納得がいく。
甘さオンリー偏重のひとたちにはこの秘伝の価値はわからないだろうが、こういったものの価値をきちんと語っていかねばならないことも我々の重要な役目であるとともに料理人のかたがたに求めるところである。
旨さの型をここにみた。
3.12 今回のは前回よりさらに青い。きれいなものを煮豆屋さんに出したあとのはね物ではあるが虫食い等はない、ただし早く取りすぎたがゆえのボディわき腹のへこみ等が多々ある。
煮ているときのかおりは普通の青味である、アセチルピロリン臭は感じられない。
豆乳も同じ、甘みもさほど感じない。
よせは濃いわりにはさらさらである。
できあがりはさほどの感激はない、ふつうに甘い。
・・・。
お昼に食べる。
あふれる春の息吹き。おくのほうからしっかりと押し寄せてくるアセチルピロリン。
あまーい、とても甘い。しかし添え味の野の野生味がびっしり。
ハイビジョンのこまかさにたとえられる緻密さである。
これに対してふつうのひね秘伝は画素数1000画素ぐらいのデジカメにもたとえられる、隙間だらけなのである。
ただし受け狙いは後者のほうがあるのかもしれない、つまり「オレ、あめーんだよー。オレ、ぷんぷんなんだよー」と自己顕示たっぷりなのである。
前回と今回の真っ青秘伝は奥ゆかしさの極み、といえる。
それでいてちゃーんと"華"がある。
茶の湯の世界をそれとなく教えてくれる大豆である。
ついでに"ひとの道"も説いている。
アマゾネスの下品さとは対極にある、サトウイラズをさらに洗練させた美しさ、"日本の美"の象徴ともいえる。